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私は現在60代です。彼女との出会いは28歳の時にあった合コン(コンパ)です。印刷関係のDTPのオペレーターをしていました。その時は出版社の編集や校正、コピーライター、何しろ仕事なら何でもやりました。彼女は34歳。プロの校正者で仕事で顔は知っていました。

私の編集仲間で、出会いのない編集関係の人間を集めて、仕事を離れて合コンをやろうという話が持ち上がりました。私は合コンは初めてでした。あまり人との会話が得意の方ではありませんでした。特に女性は。

日にちと場所は友人が幹事として担当してくれました。人集めも友人が殆ど受け持ったようです。つまり、私はあまり乗り気の無い参加者でした。男性4名、女性4名です。いろいろな出会いのない人間を集めてみた、と自慢するように言っていました。

合コンが開始!会話も無いまま料理もお酒も無くなって・・

7時に集合の合コンが始まりました。あまり女性が得意ではない私は女性が凄く眩しく見えました。テーブルに料理が並び、ビール、ワイン、カクテル、いろいろ用意されていました。初めに自己紹介でスタートです。

みんな、合コンでの出会いに慣れているのか自己アピールが凄く上手く感心しました。私は最低限の自己紹介だけで、笑いもありませんし面接みたいな話しか出来ませんでした。

気になる女性が一人いて、私の斜め前に座っている女性です。彼女も、合コンの出会いにあまり興味がないようで、簡単に自己紹介を済ませました。私が気になったのは、この席で彼女が一番年上なのではないかという事です。

彼女も、自分はこの出会いの場所に不釣り合いの人間です、という顔をしています。でも、美人で大人の女性を感じました。料理は無くなり、お酒もかなり飲んでいて、いつもより飲んでいます。飲むしかやる事がなかったというのが正確な表現でしょう。

気になる彼女と会話!離婚していると打ち明けられる

何となくカップルらしきものが出来て、二人同士の会話が始まりました。まわりを見ると、合コンになれていない私と彼女だけがぽつんとしているのです何となくお互い気に成りだして、私は思い切って彼女に近づき話を始めました。

挨拶程度の編集の話から、二人はどんどん楽しい会話になっていきました。一番の話題は演劇の話で、二人とも演劇を目指した事があるのが分かりました。

私は戯曲と演出になろうと希望した事。彼女は恥ずかしそうに女優に憧れた事。二人は随分長い間、二人だけで演劇の話をしていました。私は強く彼女に引かれました。

突然彼女の口から、「私は離婚の経験があります。皆さんよりかなり年上です」と言うのです。私は一瞬どきっとしました。彼女が自分のプライベートを私に聞かせたからです。私の彼女への気持ちも一瞬で変わりました。彼女との出会いが特別なものに思えました。

私から演劇の観賞を誘いました。彼女は喜んでご一緒させてください、と応えてくれました。その日の合コンは、それだけで別れましたが、その日以来、彼女の事が頭から離れなくなりました。その後、二人で演劇鑑賞しました。そして二人でお付き合いする事を約束しました。

趣味が合うので、とにかくデートが楽しい!メールで恥ずかしい文のやりとりもした

私と彼女は編集関係の仕事をしていますから、必ず何処かで顔を合わせます。仕事の話もしますが、これはデートです。お互い口には出しませんでしたけど納得していました。

二人で大好きな別役実の作品芝居を観に行きました。観劇の後にお酒をかなり飲んだんですが、芝居がたいへん面白かったので、二人ともかなり興奮していました。その流れで次に見に行く芝居も決めました。

仕事の関係上、連絡を取らなくても会う事は出来ました。書く事はプロですからパソコンでのメールのやり取りは大量な数と文字数になりました。お酒を飲みながらメールをした時など、後で読むと恥ずかしいくらいの恋文です。

二人が同時に酔っている時は、面白がって、メールで男女の関係を楽しんだ事もあります。彼女は一度離婚の経験がありますから、私に対して気を使っているのだと思いました。

私も彼女は年上だし、自分の経験不足などが気になって、強く彼女に対して行動出来ませんでした。このような関係がしばらく続きました。これだけでも十分に楽しかったです。

初めてのキス、彼女がいるだけで幸せ!でも結婚の文字がよぎる

何回かの観劇の後に、お酒の勢いもありましたが、彼女を自分の部屋に招待しました。その日は、私は最初から計画していました。彼女も何となく感じていたようです。私の部屋で飲み直しました。見つめ合いグラスを傾け、手を握りキスをして笑いました。

その日は二人で朝まで抱き合い完全に恋人同士になりましたが、歳の差があります。私は気になりませんでしたが、彼女は凄く気にしていました。結婚を考えた時に、彼女は子供は授からないかも知れないと思っているからです。

彼女から、はっきりと子供は欲しいですかと聞かれた事もあります。「どうしても欲しいとは思わない。君と一緒に居られればそれでいい」と応えました。

二人の関係はこれ以上進みませんでしたが、結婚を彼女は凄く意識していましたが、私は仕事が安定するまでは結婚は出来ないと思っていたのです。結婚できるようになるまでは、二人が楽しめる新しい楽しみを見つけなければいけないと思いました。

演劇が好きな二人ですから、アマチュアの劇団のワークショップに参加しまし、二人でストレッチから発声から演技まで、ここなら楽しい時間を過ごす事が出来ると思いました。

だんだんと二人の距離が離れていく!愛しているのに気持ちが通じず愛が終わる

しかしこの頃から、何となく二人の間に溝のようなものを感じるし、演劇も無理して関わっている感じがするんです。お互いが同じような気持ちでいるのが分かります。

彼女は結婚を考えていましたが、私は仕事が安定するまでは、このままの関係を望んでいました。女性にとっては複雑な思いがたくさんあるのだと思います。

そんなとき彼女からお見合いをして会社の社長と出会った事を告げられたんです。彼女はその男性から、猛烈に結婚を迫られていると私に話してくれました。これは、私が結婚の意思が有るのか無いのかの問いだと思います。

私ははっきりと答えを出す事が出来ません。これが4年も続いた2人の愛の終わりだと思いました。徐々に会う機会が減っていきます。メールも来ません。仕事の関係でも彼女の姿を見る事が無くなりました。

彼女は仕事を辞め結婚をしたのだと思います。彼女と出会って愛を感じましたが、私はまた一人に戻りました。

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