私は現在68歳で、妻は45歳、満年齢で23歳の歳差があります。出会ったのは20年前で私が48歳、妻が25歳の時ということになります。
当時私は東京の某専門学校に事務長のような立場で勤務しておりました。そして妻となった女性はその専門学校の学生でした。それも、留学生、つまり外国人学生であったのです。具体的にいうと妻は台湾国籍の女性です。
留学生と結婚するとは夢にも思っていなかった
私がその年まで独身でいたことにとりわけ自覚的な理由はありません。
特段に女性にモテないわけでも、またモテすぎたわけでもなく、それなりに女性との付き合いは年相応にあったのですが、何故か結婚に踏み切れぬまま50の大台が近づき、オレはもうこのまま一生独身かなあ、という諦念にも似た気持ちをもって日々を過ごしていたのかもしれません。
私の勤務していた学校は小規模な所で、2年制で学生総数は600名程度、そしてその中に2割ほどの留学生が在籍していました。
私の妻となる女性が入学して来た年の9月か10月ころだったか、彼女が担当教師のと折り合いが悪く、ちょっとした問題が発生したことがあり、そのことで、彼女の顔と名前が私の記憶に残りました。
私は、自分の年齢からいって学生と付き合うということは全く念頭にありませんでしたから、まさか将来、留学生と結婚するとは、その時は夢にも思っていなかったのです。
たまたま本屋で留学生と出会う！お茶に誘い、夕食、３軒ははしごして、そのまま交際
そして、その年の11月のある日曜日のことです。私は自宅マンションからもよりの駅前まで散歩に出て、本屋で一時間ほど時間を潰してから、会員になっているスポーツクラブのプールに行く予定だったのです。
予定通り、本屋で小一時間ほど物色して店を出たところで、彼女とばったり出くわしたのでした。聞くと彼女はその本屋のすぐ近くに住んでいたのです。
私は当然彼女を見知っていたのですが、彼女が私のことを認識していたことは驚きでした。それでも、人懐こく近づいてきて、先生、先生としたってくれるので、悪い気はしません。
お茶に誘うとすぐについて来てくれたのですが、そのままその勢いが止まらず、夕食になだれ込み、かなりお酒が入るとさらに勢いが加わり、その後3軒ははしごをしたのではなかったでしょうか。
そんな風にして彼女との付き合いが始まりました。自分の勤務する学校の20歳以上年下の学生が相手ですから、正式に結婚を公にする時までは、私はやはり人目を恐れました。デート中に職場の関係者や学生などに出くわしはしないかといつもヒヤヒヤしていたものです。
母子家庭で育ったのが、私のようなおじさんを好きになった理由かも
彼女が何故、父親に近いような年齢の男を好きになったのか、私にも思い当たることがあり彼女に訊いてみたのですが、やはりそのとおりでした。
彼女の実際の父親は彼女が14歳の頃に病気で亡くなっていて、知り合った頃の私の年格好が彼女の父親が亡くなった年齢に近いのでした。まあ、一種のファーザーコンプレックスというようなものかもしれません。母子家庭で育った女性によくみられるものです。
付き合い始めて、8ヶ月ほどたったころ、彼女は自分の部屋を引き払って、私のマンションへ乗り込んで来ました。つまり押しかけ同棲が始まった訳です。
そうなると、朝起きて行き先は同じ学校なのですから笑えます。私は事務長として、彼女は学生として。やはり人目を避けなければなりませんから、時間はずらしましたが。
留学生が妊娠したので結婚となる！ロマンティックな展開はなかった
そんな人目をはばかる同棲生活が始まってもまだ結婚のことなど実は露ほども考えていなかったのですが、こんな状況でお決まりのように、彼女の妊娠ということが起こり、事態は一変しました。
二人とも授かった生命ということには敬虔な気持ちで受け入れざるを得なかったので、私もいろいろと覚悟を決めて、ある意味では恥を偲んで、職場にも彼女との関係を公開して、正式に結婚を視野に入れた活動を始めました。
彼女は出産のために学校を辞めて一旦帰国ということになり、私も彼女の家族への挨拶などで、連休を使って何度か台湾に行きました。
私はすでに両親はともに亡くしていて、特に私の側には問題はありませんでした。そんなわけで、結局プロポーズなどいうロマンティックな瞬間もなく、事の成り行きに押し流されるようにして、結婚まで到達してしまったという感じでした。
運命を感じる！結婚して良かったです
今思うと、私の結婚に到る経緯には、やはり何か宿命的なものを感じざるを得ず、その運命に押し流されるようにここまで来てしまった感があります。
その後も色々と苦労はありましたが、まあまあ幸せな家庭を築くことができ、授かった娘もグレもせずいい子に育ってくれて、色んな意味で感謝で一杯です。
